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私の知る限りで、こんなにも独特で珍しいレコーディングはあっただろうか。
新旧問わず音楽愛好者や、気軽に音楽を楽しむ人にとって、この「パーティー」スタイルでのレコーディングというもてなしは最高のものであり、彼らファンたちを満足させると同時にさらに熱望させるものだった。
ギミギミズはその有意義なレコーディングで、貴重でありながら、気取らないで分かりやすい音楽を我々に聞かせてくれた。
Pat Boone*1 がその当時「Tutti Frutti」*2 といったポピュラーソングに革命をもたらしたのと同様に、ギミギミズは今日のヒット曲に革命をもたらしている。
そのより一層高まりつつある人気こそ、彼らの持つ注目すべき才能の証なのだ。
本アルバムでの選曲は、年代を問わずギミギミズのお気に入りによるものである。
ギミギミズのその真似のできないスタイルはこれらの曲に新たな輝きや刺激を送り込み、今日のポピュラーミュージックシーンとは比べようのないほどの仕上がりとなっている。
このバンドはその音と同じく、独特の才能を持つメンバーも自慢である。
SPIKE "SPIKE" SLAWSON
「スパイク」の呼び名で親友から知られるスパイクは、どこをとってもまさに才能のエッセンスで溢れている。
唇がないまま生まれてきたことにも関わらず、彼はそのマイナス部分をできる限りプラスの宝庫へと変えてきた。
スパイクは幼少の時分から、Circus Vargas*3 のショーの間に「Send In The Clowns」*4 をその優しい声で歌っていた。
そして彼はついに唇の移植手術を行うにあたり必要なお金を稼ぎ、その後の活躍はご覧のとおりである。
今やギミギミズの「(サーカスの)演技の主役」として、スパイクがセンターステージを陣取った時はいつもメインとなり皆を魅了している。
よく考えてみると、「Vargas」は「Vegas」とたった2文字しか違わないのだ。
Vegasはショーマンシップを意味する。
スパイクの血液には常人の10倍ものショーマンシップが流れているに違いない。
Elvis*5 やSinatra*6 、Manilow*7 と比較されているが、間違いなくスパイクは「スパイクそのもの」というジャンルに分類されるだろう。
彼の美しい声が紡ぎだす心休まるこの音色は、山の泉から湧き出る冷たい水の泡にも似た、このブリーチブロンドのAdonis*8 から流れ出てくるのだ。
JOEY CAPE
Billy Barty*9 の孫息子ということもあり、彼の第2の天性はエンターテイメントである。
そんな伝統的に背の低い家族の中、両親は子供が生まれた時、その子がカンガルーの赤ちゃんに似てると思ったので、彼をあだ名でジョーイ(カンガルーの子)と呼んだ。
しかし、この芸能一家でリンゴが木から遠くに落ちることはなかった… その少年にとっても、才能で「背の低さ」から抜け出すことはなかった。
器用で巧みなギター演奏はジョーイのお家芸であり、どんな楽曲においても効果的に重ね合わせてくる。
普段会話をしている時、ジョーイは控えめで和やかなのだが、ステージ上では、彼は音楽の豪雨とでも言おうか一人の男に姿を変えるのだ。
奇抜なステージ化粧や渦巻くルネサンスをテーマとした衣装に対する強い思い、真似のできないギターやニー・シンバルの人並みはずれた演奏能力により、彼は「ポップ」ミュージック界の謎の人物となっている。
DAVE...JUST DAVE
ドラマーは通常どんなバンドにとっても、激しく叩きまくることで役目を果たしている人物である。
ギミギミズも例外ではない。
デイヴはBun E. Carlos*10 とともに8年間徹底的にトレーニングを積み、ギミギミズでは異彩を放つ才能の持ち主である。
彼はドラムコンテストでいくつもの名誉や賞をつかんでおり、その中には、非常に尊重されている国のドラムコンペ、The Great Beat Offでの連続優勝といったものもある。
そんなすごい才能を持っているにも関わらず、彼は少しも利己的でなく、最も親しみやすいメンバーなのだ。
ましてや尊敬の念なんてものはほとんど持たれていない。
デイヴはあまり認識されておらず、彼の名字を教えてくれとせがまれたことのあるメンバーさえもいないほどだ。
事実、デイヴは近ごろ出版物でよくギミギミズメンバーから外されるし、地方公演の出しゃばりな裏方に間違われたり、バンドが4人編成ではなく5人編成であることを知らず、実際はデイヴがギミギミズの5人目だったのに、からかって彼を「ギミギミズの5人目」と呼ぶ人もいた。
このことを裏付ける古いジョークがある。
問「いつもこのバンドについてきてるあの人のことを何て呼んでるんだい?」 答「ドラマーだ」
FAT MIKE
彼はベースを弾いている。
JAKE "CHRIS" JACKSON
ギミギミズの信頼のおける焼けるようなリードギター担当、そんな彼は才能があるだけでなく、キュートでそして何より独身だ。
ジャクソン(彼は女性にこう呼んでほしい)はパンクロック界の女たらしだ。
事実、San Francisco Free Clinicのspecial wing*11 は彼にちなんで名付けられたほどのswinger*12 なのである。
「Playgirl」*13 や「Honcho」の前のモデルが、女性が叫び声を上げる演奏者であることは何の驚きでもないだろう(私はその「演奏者」の話をしているのだ)。
しかしながら、本アルバムを聴いてみると、ジャクソンの才能が単なるメジャーで測りきれないことは明らかである。
彼の見事なフレットボードさばきは、器用で非の打ち所のないテクニックを強調するスタイルをまとった、ギターの神様を思い起こさせる。
彼はステージで演奏するために生まれてきたんだ。
これは誇張ではない。
彼の母はThe Peanut Butter Conspiracy*14 のゴーゴーダンサー*15 として働きながら、ステージ上でジャクソンを生んだのだ。
ジャクソンが愛すべきファンの前で演奏するにつれ、その人気が広まっていくのがわかった。
誰がこのことを不思議に思うだろうか?
はっきりとお分かりになるよう、これらの音楽モノリスの「ポップ」チャート上での結合した衝撃は、音楽業界を通じさざ波、いや巨大な津波を起こすと断言する。
本アルバムは素晴らしい音楽への飢えを和らげる最高の特効薬となるだろう。
嘘だと思って聞いてみるといい。
肝障害になってもその価値があるのは間違いないであろうから。
Christopher M. Dodge
Professor of Music Culture, M.D.
追伸 ああ、ボウリングの秘訣だったな…OK、ボールをガターに投げないことだろ、それから必ず誰かのスコアをキープすること、それから…ていうかお前もうボウリングがそんなにクールじゃないってこと知ってるだろ。 それよりむしろ今すぐゴルフに挑戦した方がいいぜ。
*1 パット・ブーン(1934-)。アメリカ出身のポップシンガー。上品で優等生的なイメージが人気を集めた。公式サイト。
*2 トゥッティ・フルッティ。ロックンロールのパイオニアとして知られるリトル・リチャードの1956年の大ヒット曲。パット・ブーンがカバーし、そちらの方がよく売れた。当時の白人社会を物語っている。
*3 アメリカ最大のサーカス団。公式サイト。
*4 1973年のミュージカル「A Little Night Music」中のナンバー。スティーヴン・ソンドハイムによって書かれた。邦題は「悲しみのクラウン」。
*5 エルヴィス・プレスリー(1935-1977)。詳細はコチラ。
*6 フランク・シナトラ(1915-1998)。アメリカのジャズ・ポップ歌手。20世紀を代表するシンガーの一人。映画俳優としても活躍した。公式サイト。
*7 バリー・マニロウ(1943-)。詳細はコチラ。
*8 アドニス。ギリシア神話に登場する、美と愛の女神アプロディテに愛された美少年。
*9 ビリー・バーティ(1924-2000)。アメリカの映画俳優。公式サイト。
*10 バン・E・カルロス(1951-)。アメリカのロックバンド、Cheap Trickのドラムス。公式サイト。
*11 サンフランシスコにある、無料もしくは安い値段で診てもらえる診療所。special wingはココの左上のロゴ。
*12 性的に奔放な遊び人。
*13 アメリカの女性誌。セミ、もしくはフルヌードの男性を取り上げている。公式サイト。Honchoも同様。公式サイト。(18禁かも)
*14 ピーナッツ・バター・コンスピラシー。1960年代後半に活躍したアメリカのサイケデリック・グループ。
*15 セクシーなダンスを披露するプロのダンサー。