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 ずっと愛され続けているパンクロックの浅黒いプレイボーイたち、ギミギミズが意気揚々と舞い戻った! 今回このアルバムで、彼らの本当の人気を知らしめ、見事な音楽の才能を独特の新たな角度で披露することになる。 どうやってかって? そう、まず何よりもこのコニャック*1 を飲み干した5人組は、スウィンガーたちで構成されている。 スウィンガーはセックス、ドラッグ、ロックを楽しむ。 ギミギミズは既に70年代のソフトロックのヒット曲をたくましく作り変え、ブロードウェイのヒット曲に飲んだくれの突進を浴びせたため、新たに征服するテリトリーを必要としていた。 そして、前述の悪行のすべてを含む都合のいい10年間は音楽のどの時代であるのか? Maxwell Smart*2 のように、それは60年代だ!と導き出す必要はない。 しかしながら、この能天気なアルバムジャケットを見て、レコーディングの工程中このバンドが1960年代の経験に没頭しすぎて、それぞれのメンバーが自己喪失に陥ったことを想像できた人はほとんどいないであろう。

 まず始めに、ファット・マイクの姓はStevensであるが、そのことがCat Stevens*3 のクラシックナンバー「Wild World」レコーディングのすぐ後にファット・マイクが誕生したのを説明するのに役立つことを知るものはほとんどいない。 姓が同じなので、ファット・マイクは自分のことをジョークめかして「Fat Stevens」と呼び始めた。 レコーディングセッションが無情にも長引き、スタジオでの延々の孤独がマイクの頭をおかしくさせた。 彼は自分が本当にアコースティック・ギターを担いだイスラム過激派、Fat Stevensであると信じ始めた。 そのイカレっぷりの絶頂を味わうこととなったのは、Beatles*4 の曲のレコーディング時だった。 スパイクが「All My Lovin'」と歌うように、マイクはふらふらの精神状態でその箇所を「Allah*5 My Lovin'」と間違った。 スパイクがAllahの上で変なちょっかいを出しているのは自分であると誤って信じていることに腹を立て、マイクはスパイクのその異教に対して彼を死ぬほど非難した。 幸いマイクの唯一利用可能な武器はTonga Room*6 にあった数本のプラスティック製cocktail animals*7 だけだった。 彼はすぐにおとなしくなったが、完全に正気を取り戻させるため移動させられた。 「私はSalman Rushdie*8 を愛している」と書いたTシャツを着せてね。

 変わった服装についての話だが、ギミギミズの前回のアルバム「Are A Drag」用の撮影中、リードボーカルのスパイクはおちゃらけで着るようにもらった女性の服装を身にまとい、着ごこちがよさそうに見えた。 実際、あまりに心地よいので、彼はこの衣装を四六時中着たいと言い出し、しばらくしてからまた、とんでもない要求をし始めた。 まず、彼は自分の名前をスパイク・スローソンからJanet Reno*9 に変えたいと言い張った。 法廷はこれに応じなかった。 次に、スパイクは厚底靴の製品を求めてPayless*10 に出向いた。 その製品とは、サイズ14より大きいもののみ製造されており、明確にクロスドレッサーとして作られたSpike's Heelsと呼ばれるものである。 絶対にだめだ。 さらに彼は、カラオケバーの常連客が自分の「swingin' udders(揺れる乳房)」を触ろうとブラウスの下から手を入れてくるとしきりに熱弁したため、サンフランシスコからカールスルーエまでのあらゆるカラオケバーから追放されてしまった。 スパイクはようやく、自分のこの幻想世界がWalter Keane*11 の展示品と同じくらい悲しくて痛ましいものであることがわかった。 彼はこの奇行ともおさらばし、再びこのマティーニ*12 をがぶ飲みし、女を追い回している「Fat Pack」に加わった。 ただ、我々はスパイクが「My Boyfriend's Back」や「Stand By Your Man」といった曲を甘い声で夢中になって歌っている間、彼の心の中で本当は何が起こっているのかをあれこれ考えることしかできないが。

 このバンドをやるハメになった時、おかしさの度合いが足りなかったことは一度もなく、誰も不足したところにギタリスト、ジョーイ・ケイプのような「(身長の)不足した」ヤツを入れることはないだろう。 バンドがロサンゼルスでのレコーディング日程の合間でリラックスしている間、この演奏者は1960年代のスウィンギンの典型となる人間の家に立ち寄ることを思いついた。 Hugh Hefner*13 だ。 ジョーイは世界的に有名なプレイボーイ・マンション*14 に招待され、喜びに溢れていた。 しかしジョーイはすぐに、Hefは有名なロックスターであるが、そのエンターテイメントの概念にはロックンロールは含まれていないことに気付いた。 ジョーイはプレイボーイ・パーティーでまさにHefのように無理やり着飾らせられ、「ミニHef」にさせられた。 彼が得意のリンボーダンスのデモンストレーションを行うと、その人気は高まった。 ただバーの下をぶらついているだけだったが。 ミニHefの役割は屈辱的だったが、小型でもプレイボーイだったので、ジョーイはすぐに利益を得た。 すべての高さを挑戦したハリウッドのあばずれ女は、彼のずんぐりした小さな手の中にあるバターのようだった。 Rhea Pearlman*15 , Linda Hunt*16 ...You name 'em, he had 'em! Everything was aces at Hef's pad until one drunken night when Joey was bounced from the mansion for suggesting to Linda Ronstadt*17 that she "ride his Stone Pony".

 乱交をテーマとすると、ギミギミズで最も淫らなメンバーであるギタリスト、ジェイク・ジャクソンは、当然ながらSummer Of Love*18 の虜になった。 「自由恋愛」を求める探索で、彼はよく1960年代を象徴するヒッピー*19 たちのたまり場、People's Park*20 に行った。 探そうにも自由恋愛は見つからなかった。 数人のodiferous通りの奴らが性欲と「マリファナ」を交換し、幸せを超えちゃっていたが。 それは「物々交換愛」とほとんど同じで、少しショッキングではあるが、ジャクソンは本能的な衝動としてそれを認めることにした。 しかし、本当の問題はこれらゆきずりの人と寝床に飛び込んでからだった… 初めてジャクソンは仕事をすることができなかったのだ! 濡れたヌードルのように弱々しく困惑したジャクソンは、絶望の中サンフランシスコの通りをあてもなくさまよい、結局はチャイナタウンの生薬店に転がり込んだ。 考えられるありとあらゆる病気を治癒する薬草の壺に囲まれ、彼はこの店が自分の病気の療法を持ち合わせていると確信した。 ジャクソンは一日中、ムジナの耳たぶからサメの肛門まであらゆるものを、ゆでたり、焼いたりしては失敗していた。 まったくうまくいかず、イライラの募ったジャクソンは文句を言おうと凄まじい勢いでその生薬店に戻った。 慰めとして店主はジャクソンに中国伝統の「foo dog」*21 の小立像を渡した。 犬は幸福をもたらすと昔からの言い伝えであった。 それは彼をfighter(戦士)にするであろう… 言い換えれば、彼には今「no use(無駄)」なものを避ける力が備わっているであろう。 ジャクソンの力が入らなかったのは単に歯のない女性と寝たからなのか、古くから伝わる中国の神秘の結果なのかはさておき、「Foo Fighter」になって以来、彼は日々のセックスで問題に出くわしたことがないのである!

 そしてデイヴは? そう、例によって、ドラマーのデイヴはギミギミズからまったく持って敬意を払われずにここまできた。 このアルバムの重要な要素はもちろん、バックビートももたらしてくれているにも関わらず、他のメンバーはまだ、デイヴがギミギミズにいることは、Beach Boys*22John Stamos*23 がいるのと同程度の役立ち具合だと考えていた。 彼らがデイヴのことを少し考えたとしても、未だにその姓を覚えようとはしていない。 絶えず相手にされないことにうんざりして、ある日彼はレコーディングをすっぽかして、インスピレーションを得ようとHaight通りに向かった。 そこで、彼は白熱したハッキーサック*24 のゲーム中何人かのヒッピーと友達になった。 絞り染めした服装を身につけ、デイヴは毎日のように彼らに会い、その公園にドラムサークルを作った。 このヒッピーたちはデイヴを自分たちの仲間の一人であると受け入れた。 彼らはまだデイヴの名前や誰なのかを覚えていなかったので、デイヴは毎日自己紹介し直さなければならなかったが。 ドラムサークルの精神的啓蒙は地元のグル*25 を魅了し、グルは「毎日のビーティング」を求め、サークルのみんなを彼の住まいまで招待してくれた。 残念なことに、いったんグルの家に入ると、彼らは全員縛られ黙らせられ、身代金目的の人質となってしまった。 グルの言葉通りならば、彼は毎日のビーティングに関与している… 毎日喜んでヒッピーたちを騙しているのだ。 彼らの多くは、とにかく金持ちの家庭から家出してきた18歳の少年で、両親が法外な身代金を支払うことですぐに解法された。 デイヴには金持ちの家族がいなかったが、すぐに忘れられるタイプだったので、ここぞとばかりにその個性のなさといった利点を活かし、何とか気付かれずに逃げ出すことができた。 デイヴはスタジオに走って戻り、バンド仲間に再会して安心した。 ギミギミズのメンバーはデイヴと再会してもホッとする様子を見せなかったが、これはもっともなことだ。 なぜなら、彼らはデイヴがいなくなっていたことにまったく気付いていなかったのだから。

 これでおわかりになるよう、壮大なアルバムの裏側には壮大な武勇伝があるのだ。 さあ、後はギミギミズの風に吹かれるような心休まる音で、落ち着き、リラックスするだけだ。 諸君、大いに吹かれようではないか!

 Christopher Dodge,
 Professor of Musiconcology M.D., O.D.D., F.O.

補足

*1 フランスのコニャック市周辺で産出される高級ブランデー。

*2 アメリカで1965年から約5年間に渡り放送されていた、「Get Smart」(それいけスマート)という秘密諜報員もののコメディドラマの主人公の名前。

*3 キャット・スティーヴンス(1948-)。詳細はコチラ

*4 ビートルズ(1960-1970)。詳細はコチラ

*5 アラー。イスラム教の神。

*6 サンフランシスコにあるバーの名前。

*7 動物の飾りがついたマドラー(カクテルを混ぜるのに使う棒)。

*8 サルマン・ラシュディ(1947-)。インド出身のイギリス作家。89年に小説「悪魔の詩」を出版、この内容が一部のイスラム教徒の反発を招き、死刑を宣告された。

*9 ジャネット・リノ(1938-)。アメリカ初の女性司法長官。

*10 ペイレス・シューソース。アメリカの大手靴専門店。公式サイト

*11 ウォルター・キーン。一時期、画家マーガレット・キーンの夫であった。ウォルター名義の作品があるが、実際に描いたのはマーガレットである。公式サイト

*12 ジンベースのカクテル。通称カクテルの王様。

*13 ヒュー・ヘフナー(1926-)。アメリカの実業家で成人向け雑誌「PLAYBOY」の創始者。現在も下記の豪邸で複数の恋人と共に暮らしている。

*14 ヒュー・ヘフナーが暮らす広大な豪邸。セレブたちを集めた豪華なパジャマパーティーが開かれることで有名。

*15 リー・パールマン(1948-)。アメリカの女優。4度のエミー賞を受賞している。

*16 リンダ・ハント(1945-)。アメリカの女優。映画「危険な年」でアカデミー助演女優賞を受賞。

*17 リンダ・ロンシュタット(1946-)。詳細はコチラ

*18 1967年の夏のことで、特にサンフランシスコでは、何千もの若者がヒッピームーヴメントを巻き起こした。

*19 1960年代の米国で、既成の社会体制や価値観を否定し、脱社会的行動をとった若者たち。

*20 1960年代後期に造られたカリフォルニア州バークレーにある公園。

*21 仏教寺院を守っているアジア古代の神聖なる犬。外観はライオンに似ている。

*22 ビーチ・ボーイズ(1961-)。詳細はコチラ

*23 ジョン・ステイモス(1963-)。アメリカの俳優。音楽活動の経歴もあり、ドラムスとして、たまにビーチ・ボーイズとツアーを行っていた。公式サイト

*24 お手玉風のボールをサッカーのリフティングのように落とさず蹴り続けるスポーツ。「フットバッグ」ともいう。

*25 サンスクリット語で「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」などを意味する単語。